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2026/04/06【専門家が解説】EPDM(エチレンプロピレンゴム)とは?特徴・用途・メリット・デメリットを徹底比較

EPDM(エチレンプロピレンゴム)とは?基本知識と定義

現代の産業界で欠かせないEPDM(エチレンプロピレンゴム)は、「耐候性」と「コスト」のバランスに優れた素材です。

主な特徴は、紫外線やオゾン・温度変化に強く、屋外で使用しても劣化しにくい点にです。
このため、自動車の窓枠パッキンや建設資材、家電のシール材など幅広く採用されています。
化学的に安定した構造を持ち、スポンジ状の成形品やシート状など、用途に合わせた多様な形態で流通しているのが強みです。

合成ゴムの一種「EPDM」の正式名称と化学的背景

EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)は、エチレンとプロピレンに少量の「ジエン」を加えた合成ゴムです。

EPDMは、前身であるEPMの「加工しにくい」という弱点を克服して誕生しました。EPMは分子構造が安定しすぎて硫黄で固めることができませんでしたが、微量の「ジエン」を加えることで反応点を作り、加工性を劇的に向上させたのがEPDMです。

製造には主に「溶液重合法」が用いられ、触媒を使って3つの成分を精密に反応させます。この際、成分比率を調整することで、用途に合わせた最適な性質を引き出せるのが大きな特徴です。

  • ENB: 最も一般的で、加工スピードが速いのが特徴
  • DCPD: 特殊な構造(分岐)を作りやすい
  • 1,4-HD: 特定の性能を重視する場合に使われる

このように、成分を使い分けることで、多様な産業ニーズに応える高品質なゴムが作られています。

なぜ「耐候性」に優れているのか?分子構造から見る強み

EPDMが「屋外に強い」最大の理由は、その分子構造の安定性にあります。

天然ゴムや他の合成ゴム(NBRなど)は、分子のメインの鎖(主鎖)に「反応しやすい二重結合」を多く持っています。
そのため、紫外線やオゾンにさらされると、この結合が攻撃されてブツブツと切れ、ひび割れ(オゾンクラック)の原因となります。

一方、EPDMの主鎖は「単結合」のみでつながる非常に安定した構造です。攻撃を受ける隙がほとんどありません。
加工に必要な「二重結合」は、メインの鎖から枝分かれした「側鎖」にあるため、たとえそこがダメージを受けても、ゴム全体の構造が壊れることはありません。

この「壊れにくい鎖」こそが、過酷な屋外環境でも長期間耐えられるEPDMのアイデンティティです。

EPDMの耐候性は、後から薬品(添加剤)を混ぜて補ったものではなく、素材の分子構造そのものに備わっている「本質的な強さ」です。

そのため、直射日光や雨風、温度変化が激しい屋外で長期間使用しても、他のゴムのように表面がボロボロになったり、弾力性を失ったりすることがほとんどありません。素材自体の寿命が非常に長いため、メンテナンスの手間を減らし、製品の信頼性を高めることができるのが大きなメリットです。

スポンジ状(発泡体)とソリッド状(ソリッドゴム)の違い

EPDMは、その成形形態によって大きく「ソリッドゴム(固形ゴム)」と「ゴムスポンジ(発泡体)」の二つのタイプに分類されます。
それぞれが持つ物理的特性は大きく異なり、用途に応じて厳密に選択されます。

ソリッドゴムは気泡を含まない高密度なゴムであり、高い硬度と機械的強度を誇ります。高い圧力がかかる箇所のパッキンや、摩耗が激しい環境での部品に適しています。
一方、ゴムスポンジは製造過程で化学発泡剤を加え、内部に無数の気泡(セル)を形成させたものです 。
スポンジ状にすることで、素材としての軽量化が図れるだけでなく、非常に小さな荷重で形を変えることができる「柔軟性」と「圧縮復元性」を獲得します

スポンジの気泡構造には、以下の表に示すような三つのバリエーションが存在します。

気泡構造の
種類
構造的特徴 物理的特性 主な用途例
独立気泡(Closed Cell) 気泡が一つずつ壁で仕切られて独立しています。 水や空気を通さず、防水・断熱性能が高いです。反発力が強く潰れにくいです。 屋外防水パッキン、断熱材、建築用止水材。
連続気泡(Open Cell) 気泡同士が繋がっており、空気が自由に行き来できます。 通気性、吸水性、吸音性に優れます。非常に柔らかく変形しやすいです。 吸音材、フィルター、クッション材
半連続気泡(Semi-Open Cell) 独立気泡と連続気泡が混在した中間的な構造です。 柔軟性と高い密封性を両立します。複雑な形状の隙間にも追従しやすいです。 自動車用ウェザーストリップ(エプトシーラー等)。

EPDMスポンジは、これらの構造を制御することで、防水から騒音対策まで、一素材で幅広い産業ニーズに応えられるのが強みです。

EPDMが選ばれる5つの理由!

EPDMが世界中で「標準」として選ばれている理由は、その圧倒的なタフさにあります。

特に太陽光や雨風、オゾンといった「外からの攻撃」に非常に強く、他のゴムがボロボロになるような過酷な環境でも、驚くほど長持ちします。

この「壊れにくさ」という高い信頼性がありながら、コストも抑えられているため、自動車、建設、家電など、失敗が許されないあらゆる分野で「外せない素材」として君臨しています。

太陽光や雨に強い「耐候性・耐オゾン性」

EPDMを選ぶ最大の理由は、その圧倒的な「外の環境への強さ」にあります。屋外で使われるゴムにとって最大の敵は、太陽光(紫外線)と空気中のオゾンです。
一般的なゴム(天然ゴムやNBRなど)はこれらに弱く、数年で表面が硬くなり、ひび割れてボロボロになってしまいます。しかし、EPDMはこれらに対して「反応しない」という性質を持っているため、直射日光が当たる屋上や、排気ガスが多い道路沿いでも、10年以上の長期間にわたって柔軟性を保ちます。

この耐久性のおかげで、部品の交換回数を減らすことができ、結果として長期的なコスト削減に大きくつながります。

屋外使用でも劣化しにくい「耐熱性」と「耐寒性」

EPDMは温度変化に対しても驚異的な安定性を見せます。一般的なゴムは熱によって酸化が促進され、あるいは寒さによって硬化・脆化(ぜいか)します。しかし、EPDMはマイナス数10度からプラス100度を超える環境まで、ゴムとしての弾性を保ち続けることができます。

耐熱限界は、製造時の「加硫(架橋)システム」によって以下のように変化します。

加硫方法 最高使用温度の
目安
特徴
硫黄加硫 約 120°C 前後 最も一般的で安価です。加工性に優れますが、高温下での劣化は比較的早いです。
過酸化物(パーオキサイド)加硫 約 150°C 前後 硫黄を用いず炭素間の直接架橋を行うため、熱安定性が極めて高いです。

EPDMは耐寒性にも優れており、マイナス40℃前後の極寒地でも、ひび割れたりカチカチに硬くなったりすることなく、ゴムとしての弾力性を保ちます。

酷暑の直射日光から極地の寒さまで、幅広い温度変化に耐えられるこの「タフさ」があるからこそ、世界中のあらゆる気候や環境下で、最も信頼されるゴム素材として選ばれ続けているのです。

薬品や水に強く、変質しにくい「耐薬品性・耐水性」

EPDMは「非極性」のポリマーであるため、特定の化学物質や水に対して極めて高い耐性を示します。
耐薬品性において特筆すべきは、以下の物質に対する強さです。

  • 水・熱水・水蒸気: 加水分解をほとんど起こさず、膨潤も極めて少ない
  • 極性溶剤: アルコール類、エステル類、ケトン類(アセトンなど)に対して耐性がある
  • 無機酸・アルカリ: 硫酸などの酸や、洗浄剤に含まれるアルカリ成分にも侵されにくい

このため、洗濯機のドアパッキン、食器洗い乾燥機のシール、化学プラントの配管ガスケットなど、常に水や化学薬品にさらされる過酷な用途において、EPDMは欠かせない存在となっています。

長期間の使用でも弾力を保つ「優れた柔軟性と復元力」

ゴムのシール材としての価値は、押しつぶされた後にどれだけ元に戻ろうとするか、すなわち「復元力(弾性)」で決まります。EPDMは、長期間圧縮された状態に置かれても、圧力を取り除いた際に元の形に戻る力(低圧縮永久ひずみ特性)が非常に優れています。

特にスポンジ状のEPDMは、その内部の気泡構造がクッションの役割を果たし、わずかな締め付け力で隙間を完全に埋めることができます。この柔軟性は、建物の歪みや自動車の走行時の振動を吸収しつつ、長年にわたって隙間を作らない「気密性」を維持するために不可欠な要素です 。時間の経過とともにヘタってしまう安価な素材とは異なり、EPDMは長期間にわたってその反発力を維持し続けます。

電気をを通しにくい「絶縁性」による電気部品への適応

EPDMは電気を通しにくい「トップクラスの絶縁性能」を持ち、高圧電線の被覆や精密機器の絶縁シートとして欠かせない素材です。さらに、燃えても有害ガスを出しにくい「ハロゲンフリー」な配合が可能で、環境や防災への意識が高い現代のニーズに合致しています。

知っておきたいEPDMのデメリット

EPDMは万能な素材に近い特性を持っていますが、化学的な性質に由来する「決定的な弱点」が存在します。設計や選定においてこれを見落とすと、重大な故障や事故につながる可能性があります。

最大の弱点:ガソリンや潤滑油に弱い「耐油性」の低さ

EPDMの最大の弱点は「油」に極めて弱いことです。

これは、EPDMと油が共に「非極性」という似た分子構造を持つため、化学の「似たもの同士は混ざりやすい」という原則で油が内部へ浸透してしまうからです。

油に触れたEPDMは「膨潤」を起こして数倍に膨れ上がり、手で触れるだけでボロボロと崩れるほど強度が低下します。
そのため、エンジン回りや燃料ホースなど油に触れる場所には、耐油性に優れたNBR(ニトリルゴム)を選ぶといった確実な使い分けが不可欠です。

他の素材(シリコンやフッ素ゴム)と比較した際のコスト感

EPDMは、高性能な合成ゴムの中では「比較的安価で経済的な素材」に分類されます。
これは原料供給が安定していること、そしてカーボンブラックやオイルなどの充填剤を大量に加えても物性が維持されやすく、ゴム成分の比率を下げてコストダウンを図る「増量性」が高いことが理由です。

しかし、他の特殊ゴムと比較すると、以下のような立ち位置になります。

比較素材 コスト感 EPDMとの比較における優劣
天然ゴム (NR) 安価 強度と弾性はNRが勝りますが、耐候性と耐老化性はEPDMが圧倒します 。
シリコンゴム 高価 シリコンはより高温(200℃以上)に耐えますが、強度は弱く、価格はEPDMより高いです。
フッ素ゴム 極めて高価 耐油・耐熱・耐薬品すべてにおいて最強ですが、価格はEPDMの数十倍になります。

結論として、EPDMは「一般的な屋外環境や水回りにおいて、必要十分な性能を最も安価に実現できるバランスの良い素材」と言えます。

接着や塗装が難しい?加工時に気をつけるべきポイント

EPDMは化学的に非常に安定しているため、他の物質と「くっつきにくい」という性質があります。
表面が接着剤や塗料を弾いてしまうため、加工には以下のような工夫が必要です。

  • 表面処理: 接着促進剤(プライマー)を塗ったり、放電やプラズマで表面の性質を変えて、接着しやすくする
  • 物理的な固定: 接着だけに頼らず、金属側に凹凸を設けて物理的に噛み合わせる工夫も行われる

また、ゴムは成形後の収縮が大きいため、金属加工のような精密な寸法(ミクロン単位)を出すのが苦手です。特にスポンジ製品は柔らかく形が変わりやすいため、設計時にはゴム特有の「寸法公差」を考慮することが不可欠です。

【業界別】EPDMの主な用途と活用事例

EPDMの多才な特性は、世界中のあらゆる産業の「止める・守る・支える」を陰で支えています。具体的な活用事例を知ることで、この素材の真価がより明確になります。

【自動車業界】ウェザーストリップや窓枠パッキンとしての活用

自動車産業は、EPDMが最も活躍している舞台です。過酷な屋外を高速で走る車にとって、EPDMの「劣化しにくさ」と「しなやかさ」は、快適さと安全を守る命綱といえます。

具体的には、以下のような重要なパーツに使われています。

  • ウェザーストリップ(ドア・窓のパッキン)
    ドアやトランクの隙間を埋めるゴムです。雨水の浸入を防ぐのはもちろん、走行中の「ゴーッ」という風切り音や騒音をシャットアウトし、車内を静かに保ちます。
  • ガラスランチャンネル(窓のガイド役)
    パワーウィンドウのガラスが上下する際の「レール」となる部分です。スムーズに動くよう、表面に特殊な滑り止め加工が施されています。
  • ラジエーターホース(冷却水の通り道)
    エンジンの熱を冷やす液体(クーラント)を運ぶホースです。常に熱い液体にさらされるため、特に熱に強いタイプのEPDMが選ばれています。

【建築・土木】屋上防水シートや配管ジョイント、シール材

EPDMは建築現場の「標準」として欠かせない存在です。
具体的には、建物の寿命を左右する以下のような重要な場所で使われています。
  • 屋上防水シート(建物を雨から守る巨大な膜)
    ビルや工場の屋上全体を覆う、厚いゴムのシートです。何十年もの間、強烈な紫外線や雨風、激しい温度変化にさらされ続けてもボロボロにならず、建物の内部に水が入るのを防ぎます。
  • 窓枠・サッシのパッキン(気密性の要)
    アルミサッシとガラスの隙間を埋めるゴム(グレージングチャンネルなど)です。外の熱や冷気を遮断し、部屋の温度を一定に保つ「断熱・気密性能」を支えています。
  • 配管のつなぎ目・ガスケット(水漏れと揺れの吸収)
    水道や空調のパイプをつなぐ部分に使われます。地震や地盤沈下でパイプがわずかにズレたり、振動したりしても、ゴムのしなやかさでその動きを吸収し、長期間水漏れを防ぎます。

【家電・設備】洗濯機のパッキンやエアコンの防振材

家庭内の「水」や「熱」、「振動」が集中する過酷な場所を支えているのもEPDMです。毎日使う家電製品が故障せず、静かに動くために欠かせない役割を果たしています。
具体的には、以下のような製品の心臓部や接合部に使われています。

  • 洗濯機のドアパッキン(密閉と振動吸収)ドラム式洗濯機の窓にある大きなゴムの輪です。強い洗剤や熱水にさらされ、高速回転する激しい振動を受け続けても、水漏れを防ぎ、音を静かに抑えるタフさが求められます。
  • エアコン内部のパーツ(断熱と防振)エアコンの冷えを保つための断熱材や、外機にあるコンプレッサー(ブーンという音の元)の振動を逃がさないための防振ゴムとして活躍しています。
  • 給湯器のパッキン(お湯漏れ防止)常に熱いお湯が流れる配管の接続部に使われます。EPDMは水に濡れ続けてもボロボロになりにくい(加水分解しにくい)性質があるため、お湯漏れを防ぐパッキンとして最も信頼されています。

【スポーツ・日用品】衝撃吸収マットやグリップ素材としての応用

私たちの身近な生活シーンでも、EPDMの「クッション性」や「劣化しにくさ」という強みが、安全や使いやすさを支えています。

具体的には、以下のような場所でその「優しさ」と「強さ」が活かされています。

  • スポーツ施設の床や公園のマット(ケガの防止と彩り)
    陸上競技場のトラックや、公園の遊具の下に敷いてあるカラフルな地面。あれはEPDMのチップを固めたものです。太陽の光を浴び続けても色あせしにくく、優れたクッション性で転んだ時の衝撃を和らげ、子供たちの怪我を防ぎます。
  • グリップや持ち手(滑り止めと握りやすさ)
    テニスラケットやゴルフのグリップ、あるいは工具の持ち手など、手に馴染む部分に使われています。汗に強く、しなやかな弾力があるため、しっかりと握れて滑りにくいのが特徴です。
  • 水切りマット・バスマット(水に強く衛生的)
    水をはじきやすく、水に濡れ続けてもボロボロになりにくい性質を活かして、キッチンや浴室のマットとしても重宝されています。

【比較表】EPDMと他のゴム素材(NBR・シリコン・天然ゴム)の違い

素材の選定において、EPDMを他の代表的なゴムと比較することは、設計上のミスを防ぐために非常に重要です。以下の表に主要な特性をまとめました。

特性 EPDM (エチレンプロピレン) NBR (ニトリル) シリコンゴム 天然ゴム (NR)
耐候性・耐オゾン性 ◎ (最高レベル) × (屋外では短命) ◎ (極めて優秀) × (極めて弱い)
耐油性 (鉱物油) × (不可) ◎ (非常に優秀) ○ (中程度) △ (適さない)
耐熱性 ○ 約150℃ ○ 約120℃ ◎ 約250℃ △約80℃
耐薬品性 (極性溶剤) ◎ (非常に強い) △ (膨潤する) ○ (良好) △ (弱い)
機械的強度 (強さ) ○ (良好) ◎ (強い) × (裂けやすい) ◎ (最強)
コスト ○ (安価) ○ (安価) × (高価) ◎ (最も安価)

耐油重視の「NBR」 vs 耐候重視の「EPDM」

NBR(ニトリルゴム)とEPDMは、得意分野が正反対の「対極」にある素材です。

NBRは油に対して鉄壁の強さを持ちますが、紫外線や外気には弱く、屋外では短期間でひび割れてしまいます。対してEPDMは、外に10年置いても平気なほど耐候性に優れますが、油には極めて弱く、数滴触れるだけでボロボロになります。

「機械の内部で油を止めるならNBR」、「建物の外で雨を止めるならEPDM」という、性質に応じた確実な使い分けが不可欠です。

耐熱限界とコストで選ぶ「シリコンゴム」との比較

シリコンゴムは、200℃以上の高温やマイナス60℃の極寒にも耐えるハイエンドな素材です。食品衛生法にも適合し、キッチン用品や医療用にも重宝されます。

一方で、EPDMに比べ材料費が数倍高く、引き裂きに弱く破れやすいのが欠点です。そのため、120℃程度の環境で「頑丈さ」と「低コスト」が求められる工業用パッキンなどの用途では、EPDMを選択するのが最も合理的といえます。

汎用性と強度のバランス:天然ゴム(NR)との使い分け

天然ゴム(NR)は、数あるゴムの中で最高の「弾力」と「強靭さ」を持つ王様です。タイヤや重機用の巨大な防振ゴムなど、強烈な力がかかる場所には欠かせない素材です。

しかし、日光や熱に極めて弱く、屋外ではすぐに硬く劣化してしまうのが弱点です。そのため、凄まじい衝撃や荷重を受ける場所には天然ゴム、それ以外の一般的なシールや屋外での長期使用には、耐候性に優れ長持ちするEPDMという使い分けが基本となります。

プロのアドバイス:用途に合わせたEPDMスポンジの選び方

EPDMスポンジを実際に選定・購入する際、単に「EPDM」という名前だけで判断すると、期待した性能を発揮できないことがあります。現場での失敗を防ぐためのプロの視点を紹介します。

硬度(柔らかさ)の選び方:シール性とクッション性のバランス

EPDMスポンジの製品選びで最も重要なのが「硬度」の選択です。これは、ゴムの硬さを0から100の数値で表したもので、JIS A硬度(ショアA)が一般的です 。

  • 低硬度(ショアA 40以下)
    指で軽く押すと深く沈む柔らかさです。非常に軽い力で隙間を埋められるため、薄いプラスチックケースの蓋や、デリケートな電子基板の緩衝材に適しています。
  • 中硬度(ショアA 60~70前後)
    最も標準的な硬さです。適度な反発力があり、自動車のドア、家の窓枠、産業機器の点検扉など、ボルトやハンドルでしっかりと締め付ける場所に向いています。
  • 高硬度(ショアA 80以上)
    かなり硬めの感触です。重い機器の土台や、摩耗を避けたい場所、高い圧力がかかる場所での支持材として使用されます。

隙間を埋める目的(シーリング)であれば、「柔らかめ」を選んだほうが相手材の歪みに追従しやすく、漏れを防ぐことができます 。

粘着テープ付きEPDMのメリット:施工性を高める工夫

EPDMスポンジ製品の多くは、裏面に両面テープが貼られた状態で販売されています。これは単なる「おまけ」ではなく、施工品質を左右する重要な要素です。

  • 現場作業の劇的な効率化
    接着剤を塗って乾かす手間が不要で、剥離紙を剥がすだけで誰でも正確に貼り付けられます 。
  • 位置合わせの精度
    スポンジを必要な長さにカットし、そのままピタッと固定できるため、複雑な曲面や垂直面での作業が容易になります。
  • 総合的な耐久性の向上
    工場出荷時にプライマー処理を施した上で強力なアクリル系粘着剤を貼っている製品を選べば、後から自分で接着剤を塗るよりも遥かに剥がれにくいです 。

特に「エプトシーラー」などのブランド品は、粘着剤そのものも耐候性に優れたものが選ばれているため、スポンジ本体が劣化する前にテープが剥がれてしまうといったトラブルを防ぐことができます。

まとめ:屋外や水回りの使用にはEPDMが最適!

EPDM(エチレンプロピレンゴム)は、その卓越した耐候性、耐オゾン性、耐熱性、そして優れたコストパフォーマンスにより、現代のモノづくりを支える「万能選手」としての地位を確立しています。

油分に弱いという一点さえ注意すれば、EPDMほど信頼のおけるゴム素材は他にありません。スポンジ状にして柔軟性を持たせることで、その用途は無限に広がります。自動車のドアから、建物の屋上、そして家庭の洗濯機に至るまで、EPDMは私たちの生活の質と安全を支え続けています。素材選びに迷った際、屋外や水回りに関わる用途であれば、まずEPDMを検討することが、成功への最短ルートとなります。

富士ゴム産業株式会社では、EPDMゴムスポンジを販売しています。
ぜひチェックしてみてください。
https://www.fujigomu.co.jp/simulation/material/sponge/epdm.php

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